フランスのサロン・デュ・ショコラで一足お先に購入してきた、今年の新作『CHOCoLoGY dégustation No.4 2015』。

残念ながら今年は受賞は叶いませんでしたが、C.C.C.の最高賞3タブレット以上の価値があると個人的には思います。

今年のショコラの表面は、ファンタジーを感じる可愛らしい模様。

フランスのショコラティエはあまりショコラの説明書はつけませんが、小山シェフは必ずフランス語の説明書を付けています。
自分のショコラを理解してほしいという熱意を感じます。
今年のテーマは「Destiney」。

『CHOCoLoGY dégustation No.4 2015』
(左上から→)
No.1 「アルアコ72%&カカオフルーツ」

大きめのブラックチョコレートの長方形にカカオのパルプを思わせる白い模様と、カカオパウダーが飾られている。
外側のシェルは薄いブラックチョコレートでパリリと割れる。
酸味があるカカオの香りながら、芳ばしいガトーショコラのような香りもする。
中は2層になっていて、上層がカカオパルプのガナッシュ、下層がアルアコ72%のガナッシュ。どちらもブラックチョコレートベースですが、よく見ると下層の粒子はかなり細かい。
シェルのブラックチョコレートは、熟成されたかのような濃厚で強いカカオ感がある。かすかに渋みもあるがすぐに消える。
パルプのガナッシュは甘酸っぱく、ライチのようなフルーティーで瑞々しさがある。
アルアコのガナッシュは、濃厚で芳ばしい風味。ミルクのような深い甘みもある。
一緒に食べることでパルプの瑞々しさが際立つとともに、カカオのフルーティーな酸味も強く感じられる。
カカオを多面的にとらえて、それを1粒の中に閉じ込めることで、複雑で重厚な味を立体的に作り出し、奥行のある風味に仕上げている。
滑らかな舌触りとゆったりとした口どけで、長くカカオの余韻に浸れます。
この発想と技術に脱帽ものです。
No.2 「カモミール&Wベリー」

ミルクチョコレートの細長い長方形。表面にはカモミールの花を思わせる白い点とベリーを思わせるピンクの羽のような模様。
カモミールの優しくてすっきりとした香り。
外側のミルクチョコレートのシェルは薄い。
中は2層になっていて、上層がミルクチョコレートベースのカモミールのガナッシュ。
下層がブラックチョコレートベースの苺とフサスグリのガナッシュ。
ミルクチョコレートはかなり甘め。
カモミールのガナッシュは、口に入れた途端にカモミールの風味がいっぱいに広がる。優しい風味ながらカモミールの主張はかなり強い。
苺とフサスグリのガナッシュは、酸味がかなり強く、ベリーの甘酸っぱさとカカオの酸味が広がる。
カモミールのふんわりとした風味を、ベリーの華やかな酸味が引き締める。
カモミール独特のクセをミルクチョコレートとベリーの酸味が和らげて中和する感じもあります。
リラックス効果がありそうな、カモミールの風味をチョコレート。
風味を活かしつつ、ミルクとベリーを合わせることで独特のクセを抑え、食べやすくした1粒。
No.3 「プラリネ日向夏」

丁寧に作られたことを感じさせる品のあるツヤのミルクチョコレートの細長い長方形。表面には日向夏を思わせる黄色い丸。
芳ばしいヘーゼルナッツの香りと甘いミルクの香りの中に、かすかに日向夏の酸味が感じられる。
外側のミルクチョコレートのシェルは極薄く、プラリネと一体感がある。
中はミルクチョコレートベースのプラリネ。
口に入れると、キャラメリゼされたヘーゼルナッツのザクザクとした芳ばしくて心地よい食感と共に、日向夏のフレッシュで爽やかな酸味が広がる。プラリネの中に日向夏のフレークが閉じ込められているので、噛むほどに日向夏の皮の苦みまで感じられそうなほどフレッシュな風味が広がる。
プラリネの芳ばしいナッツの風味と共に広がる、日向夏の風味は不思議で面白い。そしてプラリネがなくなった後も、日向夏の爽やかな風味が口に残るので、後味にさっぱりとした心地よい苦みが残る。
プラリネにここまでフレッシュなフルーツの風味を閉じ込められることに驚く。
昨年の抹茶とパッションのプラリネのプラリネ部分を進化させたような1粒。
口どけも滑らか。
No.4 「エルダーフラワー&カシス」

ツヤのある輝きを放つブラックチョコレートの大きめの長方形。表面にはエルダーフラワーを思わせる白い点と、カシスを感じさせる紫色の模様。
エルダーフラワーの甘い花の香りと、カシスの酸味のある香りが微かにする。
外側のブラックチョコレートのシェルは極薄く、パリリと割れる。
中は2層になっていて、上層はミルクチョコレートベースのエルダーフラワーのガナッシュ。
下層は薄く、ブラックチョコレートベースのカシスのガナッシュ。
エルダーフラワーのガナッシュは、香水のように香りが豊か。口の中を一気に甘酸っぱいエルダーフラワーの風味にしてくれる。
カシスのガナッシュは、フレッシュなカカオを閉じ込めたようなフルーティーな酸味がある。
口に入れるとまずエルダーフラワーの香りが広がる。その後主張の強くカシスが来る。
カシスのフルーティーな酸味の中に、ふんわりと広がるエルダーフラワーの優しい風味。カシスの主張も強いが、その中に儚げに存在するエルダーフラワーの風味を見つけられると、思わずそちらに意識が行ってしまう。フルーティーな甘酸っぱさの中にあるフローラルな風味。
エルダーフラワーをチョコレートにしてしまうところから、それを引き立てるために、あえて主張の強いカシスとブラックチョコレートを組み合わせる発想に、思わず唸ってしまいます。
es koyama
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