イギリスのBean to Barチョコレートメーカー「パンプ・ストリート・チョコレート」は、ベーカリーがその発祥。IBMで成功したクリス・ブレナンは、早期引退し、英国サフォークで、サワードウやその他のパンを作るベーカリー「Pump Street Bakery」をオープン。その10年後、娘のジョアンナとともに、チョコレートの製造を開始。パン製造の隣で作られるBean to Barチョコレートは、独特のパンの香りを纏い、多くの国際的な賞を受賞している。
Pump Street CHOCOLATE
76% ‘THE FERMENTATION PROJECT’ TULLOCH ESTATES, JAMAICA
今回は、ジャマイカのカカオ農園Tulloch EstateのRoger Turnerと協力して、と共同で発酵プロジェクトを行ったチョコレート。
通常は木箱の中にカカオを入れ、カカオパルプ(カカオの果肉)と共にバナナの葉等で包み、発酵させる。今回はその中にパンの発酵技術を用い、サワードゥのスターター(パンの発酵種)を入れ込みカカオを発酵させた。
封を開けると酸のある発酵臭があふれる。
ツンと酸のある発酵臭。焼かれた香ばしさと、ほのかにレーズンと柑橘ピールのような香り。
ややマットなツヤのあるビターチョコレート。色合いはやや赤みを帯びている。厚めのタブレットだが、実際は軽めにバキッと割れる。
口に含むと、ファーストアタックは濃厚な甘味。香りで感じていた発酵感はそれほど感じず、ねっとりとした強い甘味が圧倒的に覆いつくす。だが、ボディ感は強く、ベネズエラ産カカオのような重厚感がある。中盤から徐々にフルーティーさが現れ、ドライレーズンのような濃縮された甘味と酸味、タンニンのほのかな渋味に変わる。後半に香ばしいトーストされたパンの風味が現れる。
固めのテクスチャーでゆったりとした口溶けだが、中盤から一気にクリーミーな口溶けに変わり、焼かれたエアチョコのような香ばしさとクリーミーさがでて、軽やかな味わいに変わる。ラストにナッティーさが出てきて、余韻にはクルミの皮のような渋味と香ばしさが残る。
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